総長の、夜よりもあぶない溺愛。

蓮の腕の中は、思っていたよりずっと落ち着いた。

近い。
近すぎる。
なのに怖くないのは、蓮がちゃんと紗月の気持ちを見てくれているからだ。

紗月はそっと顔を上げる。
するとすぐ近くに蓮の視線があって、また胸が跳ねた。

「……見すぎ」

小さく言うと、蓮は少しだけ目を細める。

「無理」

「え?」

「今のおまえ、見ない方が無理」

あまりにもまっすぐ返されて、紗月は一気に顔が熱くなる。

「そんなこと言われたら、余計見れないよ……」

「じゃあ慣れろ」

昼にも聞いた言葉。
でも今は、もっと甘く聞こえる。

蓮は紗月の髪を指でそっとすいた。

「今日さ」

低い声が、静かな部屋に落ちる。

「相沢たちに褒められてるおまえ見て、正直ちょっと腹立った」

「えっ」

「分かりやすく惚れ直してたから」

紗月は目をぱちぱちさせる。

たしかにみんな、たくさん褒めてくれた。
でもそれをそんなふうに思っていたなんて。

「でも、みんな優しかったよ」

「それが嫌なんだよ」

「嫌って……」

蓮は少しだけ眉を寄せた。

「おまえの良さ、俺だけが知ってればいいって思う」

その言葉に、心臓がどくんと大きく鳴る。

「そんなの無理だよ」

「分かってる」

蓮は低く息をついた。

「分かってるけど、独り占めしたくなる」

その本音が、夜のせいかいつもよりずっと深く響く。