総長の、夜よりもあぶない溺愛。

そのまましばらく、ふたりは近い距離で見つめ合っていた。

外は危険な町の夜。
でもこの部屋の中だけは、不思議なくらい静かだった。

蓮は紗月の手を包んだまま、低く言う。

「今日のおまえ見て、もっと離したくなくなった」

「……うん」

「隣に立てるって分かったら、余計だめだ」

その本音が甘くて、胸がいっぱいになる。

紗月は勇気を出して、そっと蓮の服をつかんだ。

すると蓮の目が少し揺れる。

「どうした」

「……私も」

「ん?」

「私も、もっと蓮くんのそばにいたい」

聞こえるか聞こえないかくらいの声。
でも蓮には、ちゃんと届いた。

一瞬だけ目を閉じて、それから苦しそうなくらいやさしい顔で紗月を見る。

「ほんと、おまえずるい」

そう言って、蓮は紗月の頭をそっと胸へ引き寄せた。

今度は強引じゃない。
でも逃がさないくらい大事に抱きしめてくる。

「今日はこのままでいろ」

耳元で落ちた声に、紗月は静かにうなずいた。

ベッドの上。
近すぎる距離。
でもそこにあるのは怖さじゃなくて、信頼と熱だった。

ふたりの夜は、まだ始まったばかりだった。