独占愛は夜より深く。

「顔、赤い」

要が楽しそうに言う。

「誰のせい」

「俺」

あっさり認めるのもずるい。
私は悔しくなって、少しだけ要の服をつかんだ。

「……要だって」

「ん?」

「私が触ったら、たぶん弱いくせに」

その瞬間、要の目が変わった。

しまったと思ったときにはもう遅い。
要の腕がぐっと強くなって、私はそのままソファに押しつけられるみたいに抱き込まれる。

「煽ったな」

低い声。
甘いのに危ない。

「ち、違」

「違わない」

要は私の指先を捕まえて、そのまま自分の手の中に閉じ込めた。

「そんなこと言うなら、責任取れ」

「責任って」

「もっと触れろ」

真っ直ぐ言われて、今度は私が言葉に詰まる。

要は少しだけ笑って、それからすごくやさしい顔になった。

「冗談」

そう言ったくせに、次の瞬間には唇に甘いキスが落ちる。
短く触れて、離れて、また触れる。
焦らすみたいに何度も。

「……要」

名前を呼ぶだけで精いっぱいだった。

「好き」

今度は要から先に言う。
しかも、こんな近くで。
逃げられるわけがない。

「好きだよ、紗菜」

胸の奥まで甘くなる。
私はもう観念して、小さくうなずいた。

「私も……好き」

それを聞いた要が、すごく満たされたみたいに笑う。

「もっと」

「え……?」

「もっと聞かせて」

甘い。
重い。
でも幸せすぎる。

私は真っ赤になりながら、要の胸に顔を埋めた。
すると要は満足そうに私を抱きしめる。

「今日は離さない」

耳元でそう囁かれて、また心臓が跳ねた。

「ひゃっ…くすぐったいよ…」

静かな夜。
もう追手もいない。
怖いものもない。
あるのは、好きな人の腕の中のぬくもりだけ。

要の独占愛は、夜が終わったあとも、やっぱり深かった。