独占愛は夜より深く。

要は私の手からマグカップを取り上げてテーブルに置くと、そのまま両腕で囲い込むように抱きしめてきた。

「え」

「もう終わったから」

「何が」

「我慢」

その言い方がずるすぎる。

事件の間はずっと張りつめていた。
守ることも、追うことも、全部に必死だった。
だから今、こうして気を抜いた瞬間に要の独占欲が一気に出てきているのがわかる。

「ずっと足りなかった」

耳元でそう囁かれて、肩がぴくっと揺れる。

「足りないって」

「おまえ分が」

顔が熱い。
そんな言い方、反則すぎる。

私は逃げるみたいに少しだけ身を引こうとした。
でも要の腕がそれを許さない。

「どこ行く気」

「行かないけど」

「じゃあじっとしてろ」

低い声で言って、要は私の頬にキスをした。
一回だけじゃない。
こめかみ。
頬。
目元の近く。
やさしいのに、まるで全部自分のものにするみたいに何度も。

「要、待って」

「待たない」

「甘すぎる」

「今さら」

そう言って、今度は額にキス。
鼻先にキス。
最後に唇へ、触れるだけの軽いキス。

息が止まりそうになる。

離れたと思ったら、要がすぐにまた額を寄せてくる。

「足りない」

「私が?」

「全部」

そんなことを真顔で言うから困る。