期末テストが終わってからというもの、学校全体がどこか浮ついた空気に包まれていた。
一学期の終業式まで、あと二週間ほど。
「ねぇ、咲奈。夏休み、どこか行く予定ある?」
朝のホームルーム前、梨沙子が身を乗り出して聞いてくる。
「んー、まだ何も。梨沙子は?」
「うちは、家族で海行くんだ〜。あと、夏祭りも友達と行く約束してる」
「いいなぁ、楽しそう」
そんな会話をしながら、私はふと、今年の夏休みはどんなふうに過ぎていくんだろうと考えた。
須藤先輩の目覚まし係も、夏休みの間はお休みになるのだろうか。
そう考えると、なんだか少しだけ寂しいような、変な気持ちになる。
返却されたテストの答案を見ながら、梨沙子と一喜一憂しつつ、私は午前中の授業を終えた。
◇
昼休み。いつも通り、保健室へと向かう。
七月も半ばになると、日差しはますます強くなり、廊下を歩くだけでうっすらと汗ばむ。
――シャッ。
カーテンを開けると、須藤先輩はいつも通り、ベッドの上でぐっすりと眠っていた。
「須藤先輩、起きてください」
いつものように声をかけるけれど、反応がない。
「せんぱーい、もう昼休み終わっちゃいますよ」
もう一度、耳元で少し大きめの声で呼びかけてみる。
「スースー」
規則正しい寝息が聞こえるだけで、先輩は目を覚ます気配すらない。
こんなことは、初めてだ。



