家に帰ってからも、私はずっと今日のことを考えていた。
『本気で好きになったことがあるか分からない』という、須藤先輩の言葉。
そして、それに対して何も答えられなかった、自分自身のこと。
鏡の前に立って、自分の顔をじっと見つめる。
女の子らしい可愛さとは程遠い、いつもの自分の顔。
こうやって自分を卑下してしまうのは、今に始まったことじゃない。
昔から、ずっとそうだ。
田辺くんの一件がなくても、きっと私は、何かにつけて自分を誰かと比べては、勝手に小さくなっていたんだと思う。
そこまで考えて、私はふと手を止めた。
──ちょっと待って。
どうして私は今、こんなに落ち込んでいるんだろう。
須藤先輩がどれだけ噂の的になっていようと、私はただの目覚まし係のはずなのに。
そう自分に言い聞かせるのは、これで何度目だろう。
そのたびに、この言葉はどんどん薄っぺらく感じられていく気がする。
それだけのはずの関係が、今日はどうしてこんなに、胸を締めつけてくるんだろう。



