保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


「んー、数学は自信あります。逆に、古典が壊滅的でした」

「古典かぁ。俺、古典だけは昔から得意でさ」

「うそ、先輩が?」

「なんでそこ疑うの。まぁ、二学期にまたテストの時期になったら、教えてあげてもいいけど」

「……それ、期待して待ってます」

「お、素直だ。珍しいね」

そんな他愛もない会話をしながら、私はいつものように先輩の隣に腰を下ろす。

もうすっかり馴染んだこの距離感が、今日は不思議と心地よかった。

試験という一つの区切りを終えた解放感のせいか、いつもよりも長く、たわいない話に花が咲いた。

「そうだ、咲奈ちゃん」

ふと、須藤先輩が思い出したように声のトーンを落とす。

「前にメッセージで、聞きたいことあるって送ったやつなんだけど」

心臓が、小さく跳ねる。

あの夜のメッセージのことだ。

「今日の放課後、時間もらってもいい? ちゃんと、ふたりで話したくて」

「……分かりました」

いつもの軽い調子とは違う、真剣な声色に、私は小さく頷くことしかできなかった。