期末テスト一週間前。
放課後の図書室は、いつもより人が多かった。
「咲奈。この化学の範囲、一緒にやらない?」
梨沙子に誘われて、私たちは窓際の席に並んで座り、参考書を広げる。
蒸し暑さの残る夕方の図書室に、ページをめくる音とシャープペンの音だけが静かに響いていた。
「うわ。この計算、全然分かんない」
「あ。それ、この公式使うんだよ。ほら」
分からないところを梨沙子と教え合いながら、なんとかテストの範囲を終わらせる。
家に帰ってからも、机に向かう時間が増えた。
眠気に負けそうになりながらも、ノートに向かって書き続ける夜が、何日か続いた。
保健室に通う昼休みだけは、変わらず日課として続けていたけれど、さすがにこの時期は、須藤先輩との会話も心なしか短めだった。
「咲奈ちゃん、目の下にクマできてるよ」
「先輩のせいで寝不足になったことなんてないですから、大丈夫です」
「なにそれ、俺が原因みたいに聞こえるんだけど」
そんな軽口を交わす時間だけが、勉強漬けの毎日の中で、ささやかな息抜きになっていた。



