「咲奈、今日なんか元気なくない?」
放課後。帰り支度をしていると、梨沙子が心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「え、そう見える?」
「うん。なんか、心ここにあらずって感じ」
「ちょっと、テストのことを考えてただけだよ」
咄嗟に、そんな嘘をついてしまう。
まさか、須藤先輩がいなかっただけでこんなに気落ちしてるなんて、言えるはずもない。
「まぁ、この時期はみんなそうか」
梨沙子は納得したように頷いて、それ以上は追及してこなかった。
◇
下駄箱で靴を履き替えていると、後ろから声をかけられた。
「咲奈ちゃん」
振り返ると、そこには須藤先輩が立っていた。
制服姿だから、もう撮影から戻ってきたのだろう。
「せ、先輩!」
言いながら、私はとっさに周囲へ視線を走らせる。
田村先輩たちに、見つかったりしないだろうか。
こんなところで話しているところを誰かに見られたら、また何か言われるかもしれない。
そう思うと、心臓が別の意味でドキドキする。



