保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


放課後。校舎を出て、傘を差しながら通学路を歩く。

雨脚は相変わらず強く、アスファルトに跳ねる水しぶきが、スニーカーの裾を濡らしていく。

商店街のアーケードを抜けたところで、ふと自動販売機の灯りが目に入った。

なんとなく喉が渇いていた私は、財布から小銭を取り出し、冷たいココアのボタンを押す。

──ガコン。

取り出し口から缶を受け取ると、じんわりとした冷たさが熱い手のひらに伝わってきた。

その冷たさに、さっきまで強張っていた肩の力が、少しだけ抜けていく気がした。

雨に濡れたアーケードの屋根を見上げながら、私は缶のプルタブを開ける。

甘い香りが鼻先をくすぐり、一口飲むと、喉が潤っていくのが分かった。

田村先輩たちのことを黙っていると決めたのは、自分自身なのに。

胸の奥には、まだ小さな重石のようなものが残っている。

いつか、これを須藤先輩に話す日は来るんだろうか。

それとも、このまま誰にも言わずに、一人で抱えていくことになるんだろうか。

髪に結んだシュシュが、雨粒を弾きながら、いつもより重たく感じたのは──きっと、気のせいじゃない。

このピンク色を、いつまで大事にできるだろう。

そして、今日決めたこの沈黙を、私はいつまで守り続けられるんだろう。

そんなことを、ふと考えてしまった自分に、私は小さく戸惑っていた。