保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


さっきの、はっきりと言い返せた自分に少しだけ驚きながらも。

『一ヶ月ぐらいで終わる』

『身を引いたほうが良い』

そのふたつの言葉だけが、頭の中で交互にこだましていた。

そういえば今、何時だろう?

スマホを見ると、あと少しで昼休みが終わる時間が迫っていた。

「やばい、あと十分で昼休みが終わっちゃう」

こんなに怖い思いをしたばかりなのに、時間を気にしてしまう自分が、ちょっとおかしかった。

私は、慌てて非常階段から走り出す。

田村先輩たちに、忠告されたばかりだけれど。やっぱり私は、行かずにはいられなかった。

非常階段から廊下を走って、私が向かう場所はただひとつ。

──ガラガラ。

扉を開けると、いつもの薬品の匂いが鼻を掠める。

「須藤先輩っ!!」

「あっ。咲奈ちゃん、やっと来た」

私が急いで保健室の窓際のベッドのカーテンを開けると、須藤先輩はすでにベッド上で座っていた。

「もう。遅刻だよ、咲奈ちゃん」

須藤先輩が、唇を尖らせる。

「ごっ、ごめんなさい。はぁ……はぁ」

ここまで全力疾走してきたからか、息をするのも苦しい。

「咲奈ちゃん。そんなに急いで来てくれたの?」

「はぁ……っ、はい」

「キミが遅れるなんて、珍しいね。もしかして、何かあった?」

「あ、えっと……」