さっき大きな広告で見上げたばかりの人が、目と鼻の先にいる。
キャップとマスクで顔の半分近くが隠れているのに、周りの女性たちが振り返るほどのモデルオーラが漏れ出ている。
さすがだなぁ、と変なところで感心してしまう。
彼女へのプレゼントかな。
そう思うと、胸のあたりが急にちくりと痛んだ。
「咲奈、どうかした?」
「う、ううん、何でもない」
梨沙子に気づかれないよう、私はさりげなく視線を逸らす。
声をかけようか迷っているうちに、須藤先輩は店員さんと何か話しながら、ひとつのシュシュを手に取ってレジへと向かっていった。
結局、声はかけずに、私はその場を離れた。
このことを、あとから梨沙子経由で聞くことになるとは、そのときは思ってもみなかった。
◇
「ねえねえ。咲奈、知ってる?」
月曜日の朝。教室に入ってくるなり、梨沙子が興奮した様子で話しかけてきた。
「海里くんが土曜日、駅前の雑貨屋で女の子へのプレゼント選んでたって、うちの部活の子が見たらしいよ」
心臓が、どきりと跳ねる。
「へ、へぇ。そうなんだ」
「一体誰にあげるんだろうね〜。新しい彼女とかいるのかな、海里くん」



