白い、もふもふした毛並みの、何か小さな生き物……?
犬か、猫か。よく見る前に、須藤先輩が気づいたように、さっとスマホを裏返してしまう。
「あ、それ……」
「な、なんでもないから」
早口で言いながら、先輩がスマホをポケットに突っ込む。
その反応の早さが、逆に気になった。
もしかして、今の。
──「り」と、何か関係があるのだろうか。
「あの……すごいんですね、先輩の撮影」
気になりつつも、聞くタイミングを逃してしまい、私は話題を変えるようにそう言った。
「え? ああ、仕事だからね」
「さっきまでの先輩、いつもと全然違う人みたいでした」
正直な感想を口にすると、須藤先輩は少しだけ困ったような顔をした。
「……そう? まぁ、そういうもんだよ」
それ以上は何も言わず、須藤先輩はスタッフに呼ばれて、また撮影の輪の中へと戻っていった。
私は言われた通り、その場を離れるべきだったのかもしれない。
でも、なぜか足が動かなくて。
少し離れた木陰から、私はそれからもしばらく、撮影の様子を見守っていた。



