「……っ、いってぇー。おい、いきなり何すんだ!」
涙目になりながら、先輩が自分のおでこをさすっている。
あれ、そんなに痛かったかな? まぁ、幼い頃からずっと石頭とは言われてきたけれど。
「おい! これ、俺の商売道具! 分かってる!?」
自分の顔を指さしながら、眉を寄せる須藤先輩。
そっか、先輩はモデルさんだから。
「ごっ、ごめんなさい」
「あーっ。まだ、ヒリヒリするんだけど。ここ、傷になったらどう責任とってくれんの?」
「私、先に謝ったじゃないですか! ていうか、そもそもはそっちがいきなりキスしようと迫ってきたのが、悪いんでしょう!?」
自分でも驚くくらい、はっきりとした強い口調が出てしまう。
普段はこんなに強く言い返すタイプじゃないのに、なんでだろう。
この人が相手だと、なぜか素の部分がそのまま口から出てしまう。
「……ぷっ、ははっ」
「なっ、何ですか?」
いきなり吹き出し、笑い始める須藤先輩。
「いやぁ、キミみたいな子は初めてだ」
しげしげと、こちらの顔を覗き込んでくる。
「俺がキスしようとしたら、大抵の子はおとなしくされるままなのに。まさか、頭突きするなんてさ」
まるで、珍しい生き物でも見るような目。
何がおかしいのか、私にはさっぱりだけど。
お腹を抱えて、まだ笑っている彼。
「気に入った。キミ、名前は?」



