怒られる、呆れられる──そう思って身構えたのに、須藤先輩は怒った様子も見せず、ただ静かに、射抜くような強い眼差しで私を見つめ続けていた。
その眼差しに逃げ場がないような気がして、私はたまらず目を伏せる。
保健室を、重い沈黙が支配する。
窓の外からは、昼休みのグラウンドでサッカーをする男子たちの歓声と、乾いたボールの音が遠く聞こえていた。
「……ごめん、なさい。言い過ぎました」
耐えきれなくなって、先に謝ったのは私のほうだった。
「いや、いいよ。咲奈ちゃんがそう思うだけの、何かがあったんだろうなってのは分かるから」
須藤先輩の表情が、ふっと和らぐ。
「別に、今すぐ話せとは言わないよ。話したくなったら、話せばいいし」
「……」
「ただ、これだけは言っておきたいんだけど」
ゆっくりベッドから立ち上がった先輩が、私の正面に立った。



