保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


「それができる子って、実はそんなに多くないんだよ。俺の周り見てても、大抵の子は、俺の顔色伺って、機嫌取ろうとしてくる子ばっかりだから」

困ったような笑みを浮かべた須藤先輩が、続ける。

「咲奈ちゃんは、自分で思ってるより全然すごいよ。もっと自信持ってさ」

その言葉に、喉の奥がきゅっと詰まった。

視界が、じわじわと熱いもので滲みそうになる。

自信を持てなんて、簡単に言わないでほしい。

私はあの時からずっと、「女の子らしくない」「顔がタイプじゃない」って突き放された言葉に囚われたままなのに。

綺麗な顔をして、誰からも愛されるこの人には、私の惨めさなんて分かるはずがない。

「……そんなの、簡単に言わないでください」

絞り出した声が、自分でも驚くほど震えていた。

「簡単に言ってるつもりはないよ」

「先輩には分かりません! かっこいいって言われ慣れてて、周りからちやほやされてるような人には……っ」

思わず、強い言葉が口をついて出た。

自分のコンプレックスを隠すために、目の前の人を身勝手な偏見で決めつけて、八つ当たりしている。そんな自分が、たまらなく惨めで、愚かに思えた。

言った瞬間、やってしまったと血の気が引いたけれど、もう遅い。