「それができる子って、実はそんなに多くないんだよ。俺の周り見てても、大抵の子は、俺の顔色伺って、機嫌取ろうとしてくる子ばっかりだから」
困ったような笑みを浮かべた須藤先輩が、続ける。
「咲奈ちゃんは、自分で思ってるより全然すごいよ。もっと自信持ってさ」
その言葉に、喉の奥がきゅっと詰まった。
視界が、じわじわと熱いもので滲みそうになる。
自信を持てなんて、簡単に言わないでほしい。
私はあの時からずっと、「女の子らしくない」「顔がタイプじゃない」って突き放された言葉に囚われたままなのに。
綺麗な顔をして、誰からも愛されるこの人には、私の惨めさなんて分かるはずがない。
「……そんなの、簡単に言わないでください」
絞り出した声が、自分でも驚くほど震えていた。
「簡単に言ってるつもりはないよ」
「先輩には分かりません! かっこいいって言われ慣れてて、周りからちやほやされてるような人には……っ」
思わず、強い言葉が口をついて出た。
自分のコンプレックスを隠すために、目の前の人を身勝手な偏見で決めつけて、八つ当たりしている。そんな自分が、たまらなく惨めで、愚かに思えた。
言った瞬間、やってしまったと血の気が引いたけれど、もう遅い。



