はっ、はぁ?
キスする? って。たった今、初めて話したばかりの私に、いきなり何を言ってるのこの人はーっ!
頭おかしいんじゃない!?
目を閉じた須藤先輩の顔が、私のほうへと近づいてくる。
この先輩が有名なもうひとつの理由、忘れてた。
それは、とんでもないプレイボーイ……女たらしだってこと。
自分に告白してきた子やファンの女の子を、取っかえ引っ変え彼女にしてるって聞いたことがある。
去年だけで三人、それぞれ長くて一ヶ月ともたずに別れたなんて話も、入学してすぐの頃に誰かが噂していた気がする。
そんな人に、キスされそうになっているだなんて。
「キミも、俺のファンなんでしょ? だったら、良いじゃん」
良くなーーい。そもそも私、先輩のファンじゃないんですけど。
先輩の整いすぎた顔が、更に近づく。
ダッ、ダメっ!
私のファーストキスを、そんな簡単に奪われるわけにはいかない。
だって、初めてのキスはやっぱり好きな人としたいもの。
そう思った拍子に、口よりも先に身体が動いていた。
甘い香りがふわりと鼻先をくすぐり、体温を感じるほどに距離が縮まった、次の瞬間──。
「はっ!」
先輩のおでこに、私は力いっぱい頭突きした。



