保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


あの余裕たっぷりの須藤先輩が、本気で気まずそうに、申し訳なさそうな顔で私を見ていた。

「俺、咲奈ちゃんがそこまで本気で怒ると思ってなくて……っていうのは言い訳だけど。からかい過ぎたし、試すような言い方して本当に悪かったと思ってる。……来ないかと思った」

ぽつりと零された言葉には、いつもの人を食ったような軽さは一切なかった。

ほんの少しだけ不安そうにこちらを見るハチミツ色の瞳に、胸の奥がキュッと締めつけられる。

──この人も、ちゃんと反省したり、焦ったりするんだ。

昨日の怒りが、すーっと毒気を抜かれていくのが自分でも分かった。

「……来ないつもりでしたけど。目覚まし係なので、来ました」

「そっか。……ありがと」

先輩がホッとしたように小さく息を吐く。

そして、気恥ずかしさを隠すように、いつもの調子を無理に取り戻そうとして言った。

「でも、今日もちゃんと来てくれて、咲奈ちゃんはやっぱり可愛いね」

「……反省の色の見せ方が雑です、先輩」

「えー、本心なんだけどな」

まったく、この人は……。