あの余裕たっぷりの須藤先輩が、本気で気まずそうに、申し訳なさそうな顔で私を見ていた。
「俺、咲奈ちゃんがそこまで本気で怒ると思ってなくて……っていうのは言い訳だけど。からかい過ぎたし、試すような言い方して本当に悪かったと思ってる。……来ないかと思った」
ぽつりと零された言葉には、いつもの人を食ったような軽さは一切なかった。
ほんの少しだけ不安そうにこちらを見るハチミツ色の瞳に、胸の奥がキュッと締めつけられる。
──この人も、ちゃんと反省したり、焦ったりするんだ。
昨日の怒りが、すーっと毒気を抜かれていくのが自分でも分かった。
「……来ないつもりでしたけど。目覚まし係なので、来ました」
「そっか。……ありがと」
先輩がホッとしたように小さく息を吐く。
そして、気恥ずかしさを隠すように、いつもの調子を無理に取り戻そうとして言った。
「でも、今日もちゃんと来てくれて、咲奈ちゃんはやっぱり可愛いね」
「……反省の色の見せ方が雑です、先輩」
「えー、本心なんだけどな」
まったく、この人は……。



