キスを拒んだら、学校一の沼男に捕まりました


先輩の目覚まし係になってから、気づけば一週間が過ぎていた。

最初は恐る恐る入っていた保健室の、あのツンとした薬品の匂いにも、最近は少しずつ慣れてきている。

あれから、田村先輩と鈴木先輩には廊下で何度かすれ違ったけれど、特に何かを言われることはなかった。

それでも、目が合うたびにじっと見られている気がして、なんとなく落ち着かない。

何もないなら、それでいい。そう自分に言い聞かせて、私は気にしないふりを続けていた。

「ねえ、咲奈ちゃん。頼みがあるんだけど」

その日の昼休みも、いつも通り須藤先輩を起こしにいくと、開口一番そんなことを言われた。

「……嫌な予感しかしないんですが」

「まだ何も言ってないのに、ひどくない?」

須藤先輩がベッドの上で身体を起こしながら、唇を尖らせる。

「目覚まし係のときといい、先輩の『頼み』って、大体ろくなことじゃないので」

「今回は、ちゃんとしたお願いだから」

ほんとかな……?