「……別に、興味ないし」
そう呟いてみたものの、口にした自分の声が、思ったよりも硬く強張っていることに気づいてしまう。
なんで、こんなにモヤモヤするんだろう。
『キミ、変わってるな』
さっき先輩が言った、あの一言だけが、なぜか耳の奥に残って離れなかった。
からかわれてるだけ。
須藤先輩にとっては、私みたいな反応をする子が単に珍しくて、面白がってるだけのこと。
それ以上でも、それ以下でもないはずなのに──なぜか今は、それだけでは片付けられない気がした。
◇
放課後。教室で帰り支度をしていると、梨沙子が『men's Black』を鞄にしまいながら話しかけてきた。
「ところで咲奈、今日の昼休みどこ行ってたの? 珍しく席にいなかったよね」
「あ、えっと……保健室。ちょっと、頭痛くて」
半分本当で、半分嘘。
須藤先輩とのことは、まだ誰にも話す気になれない。ファンに知られる怖さもあるけど、それよりも──自分でもまだよく分からないこの感情を、うまく言葉にできる気がしなかったから。
「え、大丈夫? 無理しないでね」
「うん、ありがとう」
心配してくれる梨沙子に少し胸が痛みつつ、私は鞄を肩にかけて席を立つ。
昇降口で靴を履き替え、校門へと続く道を歩き出したところで。
「ちょっと、待って」
背後から声をかけられ、私は思わず足を止めた。



