彼は、入学してたった一ヶ月の私でも知っている超有名人。
少し開いた窓から入ってきた風でなびく、サラサラの茶髪。長くボリュームのある睫毛。スッと高い鼻に、形の良い唇。
整った顔立ちは、ファッション誌のモデルをやっているだけあって、まさに国宝級だ。
制服のシャツの一番上のボタンは開けたまま、袖もラフにまくり上げていて、着崩し方ひとつにもどこか品の良さがにじんでいる。
同じ制服のはずなのに、着る人が違うだけでこんなに印象が変わるものなんだ。
先輩のきれいな寝顔に、思わず見入っていると。
「……っ」
あ、やばい。なんだかクラクラする。
先ほどまでとは比べ物にならないくらいの激しい頭痛に襲われ、身体がふらついた私は、先輩の眠っているベッドに倒れ込んでしまった。
「……あのさ。人が気持ち良く寝ているところに、いきなり何なの?」
不機嫌な低い声に、私はハッとする。
「突然、俺に抱きついてくるなんてさ。悪い子だね、キミ」
えっ、な、なに!?
どうやら私は、ほんの一瞬気を失ってしまっていたらしい。
気づいたら膝が床に崩れ落ち、上半身はベッド上の先輩に覆い被さるような形で倒れ込んでいた。



