「な、なんで頭撫でるんですか」
「別に? ちゃんと約束守れた偉い子には、ご褒美をあげないとって思って」
「ご褒美って、子供扱いしないでください!」
「してないしてない。ただ、こういうのされて喜ばない子、逆に珍しいから」
離れていく手の感触が、しばらく地肌に残っている気がした。
ベッドの縁に座ったまま、先輩がじっと私の顔を覗き込んでくる。
作りもの染みた綺麗な顔が近づいてきて、思わず一歩後ずさる。
至近距離で見ると、雑誌よりもずっと生々しく整った顔立ちに、胸の奥がきゅっと締まった。
「あの、そんなに見ないでほしいんですが」
「ごめんごめん。ただ、なんかキミ、変わってるなと思って」
「変わってる、ですか?」
「うん。俺の顔見ても騒がないし。焦らないし。可愛いって言われても、素直に喜ばないし」
先輩が、顎に手を当てて考え込むような仕草をする。
「普通、俺と話すってなったら、もっとこう……キラキラした顔で来る子ばっかりなんだけどな」
さっきの梨沙子の顔を思い浮かべる。確かに、あんな顔で来られるのを先輩は期待していたのかもしれない。
それに、素直に喜べないのは、キラキラしていないからじゃなくて。
──可愛いなんて言葉、自分にはあまり縁がないものだって、ずっと思ってきたから。
そんな理由、先輩にはきっと分からないだろうけど。
「そんなこと言われても。私にとって先輩は……」
「俺は?」



