保健室に着くと、養護教諭の柄本先生がすぐに駆け寄ってきてくれた。
「平沢さん、怪我したの?」
「はい。グラウンドで転んでしまって……」
「ちょっとそこに座ってくれる? その近くの台に足をのせてね」
先生が指さした丸椅子に座り、私は言われるがままに、足置き台へと右足をのせた。
「少し染みるかもしれないけど、我慢してね?」
柄本先生が、消毒液をつけた綿を患部へと当ててくれる。
「……っ、」
思っていたよりも傷口が染みて、私は涙目になる。
「はいっ、これでおしまい」
柄本先生が、消毒の完了した私の右膝をガーゼで保護してくれた。
「それじゃあ私は一旦、グラウンドの救護テントに戻るけど。須藤くんはこのままもう少し、平沢さんに付き添っていてくれるのかしら?」
「あっ、はい」
柄本先生が出て行くと、保健室は須藤先輩と私のふたりだけになった。
その途端、シーンと静まり返る保健室。窓の向こうから、体育祭のにぎやかな声が聞こえてくるだけだ。
何か話したほうが良いのかと、私が考えこんでいたとき。
「……咲奈ちゃん。さっきの消毒のとき、結構染みたんじゃない? 大丈夫だった?」
沈黙を破ったのは、須藤先輩だった。
「思わず、泣きそうになっちゃいました」
「涙目になってたもんね。ちゃんと我慢できて、えらいえらい」
須藤先輩が、ぽんぽんと私の頭を優しく撫でる。
そして手を離すと、先輩はいつになく真剣な表情で、私をまっすぐに見つめた。
「咲奈ちゃん。俺、キミに大事な話があるんだ」
大事な……話?



