保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました



「キャーーッ!!」

その途端、周囲の女子たちからは悲鳴にも似た声が上がり、視線がこちらへと集まる。

やだ、みんな見てる。

「海里先輩、かっこいい」

「何あの子、羨ましすぎるんだけど」

先輩は私を抱き上げたまま、保健室のほうへと歩いていく。

「ちょっ、ちょっと須藤先輩! おろしてください!! みんなが見てます」

これは、さすがにまずい。

田村先輩たちに、また何か言われてしまうのは目に見えているし。

それ以外の女子の反感も買ってしまいそうで……怖い。

「ダーメ。おろしてって、何言ってんの。咲奈ちゃん、怪我してるでしょ。さっきも動けないでいたし」

「う……っ」

先輩に言い当てられて、何も言い返せない。

「人の目なんて、気にしなくて良いよ。見たい奴には、勝手に見させておけば良い。それよりも今一番大事なのは、咲奈ちゃんなんだから」

「……すいません」

それでも、恥ずかしい気持ちは拭えなくて、私は俯いてしまう。

こんなお姫様抱っこなんて……初めてしてもらっちゃったな。しかも、須藤先輩に。

みんなの注目の的になってしまって、すごく恥ずかしいけど……。

私は、先輩の顔をそっと見上げる。

須藤先輩との顔の距離が近くて、ドキドキする。

こんなに近くで見つめ直す先輩の顔は、やっぱり格好よくて。

先輩の整った顔だけでなく、私を抱き上げている逞しい腕にもときめいてしまう。