私が出場するのは、午前中の障害物競走。
種目決めの日にジャンケンで負けてから、体育の授業で何度練習してもタイムが縮まらなかった。
ずっと嫌な予感がしていたけれど、ついにこの時が来てしまったのだ。
出場選手の待機場所へ移動すると、ちょうど第一組と第二組がスタート位置につくところだった。
次々と鳴り響くピストルの音とともに、走者たちが網をくぐり抜けていくのを見ながら、私は緊張でお腹を手でおさえた。
「咲奈、ファイトー!」
観客席から梨沙子が大きく手を振ってくれる。
……よし、転ばないようにだけ気をつけて走ろう。
自分の番が来て、第三組のスタート地点についたとき。ふとグラウンドの端に目がいった。
用具係のパイプ椅子に腰かけている須藤先輩が、じっとこちらを見つめているのに気づいて、ドクンと心臓が跳ねる。
先輩は私と目が合うと、一瞬だけ驚いたように目を見開き、それから応援するように小さく頷いてくれた。
先輩が見てる……!
余計に顔が熱くなる中で、アナウンスが響く。
「位置について、よーい……」
──パーン!
ピストルの発砲音とともに、私が出場する第三組がスタートした。



