「海里くーん、頑張れー!」
「須藤先輩、かっこいいー!」
スタート地点の周りには、いつの間にかクラスの垣根を越えたファンの女子たちが集まり、黄色い声援を送っている。
遠目に見ていても、その人だかりの熱量は伝わってくるくらいだった。
「位置について、よーい」
──パーン!
ピストルの音とともに、リレーがスタートする。
先輩は第一走者らしく、力強いスタートダッシュで一気に他の走者を引き離していく。
その姿は、遠くから見ていてもすぐに分かるくらい、他の誰よりも軽やかで、様になっていた。
バトンを渡し終えた先輩が、額の汗を拭いながら仲間たちとハイタッチを交わす。
その笑顔を見ているだけで、なんだか胸の奥がきゅっとする。
先輩のクラスが、そのままリレーで一位を取ったらしく、周りから大きな歓声が上がった。
でも、昨日先輩と二人で交わした会話を思い出すと、こうして大勢の視線がある場所で声をかけるのは、なんだか急に気恥ずかしくて、私は遠くからその様子を眺めるだけだった。
やがて、自分の出番が近づいてくる。



