「実行委員で、たまたま係が一緒になっただけです」
私は、以前よりもはっきりとした声で、そう言い返した。
「ふーん。まぁ、係なら仕方ないか」
田村先輩は、意外にもそれ以上突っかかってくることはなく、そのまま何か言いたげな顔をしながらも、鈴木先輩と連れ立って去っていった。
その背中を見送りながら、私はふと思う。
──あの日、教室で『都合の良い女になるのは御免です』と、みんなの前ではっきり言い切った自分の姿を、田村先輩たちも見ていたはずだ。
それに、あのとき須藤先輩が「待って」と、必死に呼び止めようとしていたことも。
いつも余裕たっぷりで、誰に対しても飄々としている先輩が、あんなふうに本気で誰かを引き止めようとする姿。
あのとき、田村先輩たちも呆気にとられたような顔で、先輩の背中を見送っていた。からかいの色が消えた、あの意外そうな表情を、私は見逃していなかった。
もしかしたら、あの光景が、彼女たちの中で何かを変えたのかもしれない。
夏休み前ほどの威圧感が薄れているのは、そのせいなのだろうか。
それでも、落ち着かない気持ちだけは、なかなか治まってくれなかった。



