体育祭当日まで、あと二週間を切った頃。
放課後、実行委員の集まりが体育館の準備室で行われた。
「それじゃあ、係の分担を決めていきますね」
三年生の委員長らしき女子が、資料を配りながら説明を始める。
用具係、記録係、放送係。
いくつかの係の名前が読み上げられる中、私はふと視線を感じて、顔を上げた。
斜め向かいの席に、須藤先輩が座っていた。
「……っ」
思わず、息を呑む。
まさか、先輩も同じ実行委員だったなんて。
先輩も私に気づいたのか、一瞬だけ目が合う。
でも、すぐにお互い視線を逸らしてしまった。
あのとき言った『都合の良い女にはなりたくない』という言葉が、今更ながら頭をよぎる。
少し、言い過ぎてしまっただろうか。
でも、今さら謝るタイミングも分からなくて、私はただ気まずさを抱えたまま、資料に視線を落とした。
「須藤くんは、去年に引き続き用具係だよね」
「はい、そうです」
先輩の声は、いつもの軽い調子とは違って、どこか事務的だった。
言葉を選んでいるような、慎重な喋り方。
きっと、先輩のほうも同じように、あの日のことを気にしているんだろう。
「平沢さんは、どの係がいい?」
急に話を振られて、私は慌てて資料に目を落とす。



