『女の子らしい子のほうがいい』
あのとき田辺くんに拒絶された冷たい痛みが、嫌なリアリティを持って蘇ってくる。
……そうだ。海里先輩は誰にでも、こういう思わせぶりな態度をとる人なんだ。
私だけがまた勝手に浮かれて、勝手に傷ついているだけ。
もう嫌だ。惨めな思いをするくらいなら、いっそ自分から壊してしまいたい。
気づけば、口が勝手に動いていた。
「先輩には、リンちゃんがいるじゃないですか」
教室の空気が一瞬、ぴたりと止まった。
「えっ……」
須藤先輩が、驚いたように目を見開く。
「な、なんで咲奈ちゃんが、リンのこと」
「先輩の寝言で、聞いたんです。誰よりも可愛いって、そう言ってるのを」
震える声を、なんとか絞り出す。
「リンちゃんがいつも先輩のことを起こしてくれてるなら、別に私はいなくてもいいじゃないですか」
「えっ、ちょっと待ってよ。リンは、俺の──」



