「明日から、本格的に授業だもんね」
「そう考えると、ちょっと憂鬱かも」
私も相槌を打ちながら、心の中では別のことを考えていた。
明日からは、いつも通りの昼休みがやってくる。
須藤先輩と、また顔を合わせることになる。
一ヶ月ぶりに、あの保健室のカーテンを開けることになるのだろうか。
リンちゃんのことは、結局あの後も何も聞けないままだった。
──『須藤先輩ってさ、最近、気になってる人がいるらしいって』
夏祭りで聞いた、あの噂話も、まだ頭から離れない。
帰り道。虫の声を聞きながら、私はずっとそのことばかりを考えていた。
◇
翌日。二学期になって、最初の本格的な授業の日がやってきた。
午前中の授業は、いつも通りに進んでいく。
でも私の意識は、ずっと時計の針にばかり向いていた。
そして、やって来た昼休み。
私は、教室の入り口に立ったまま、しばらく動けずにいた。
保健室に行くべきか、それとも。
夏休みの間、ずっと考えていたはずなのに、いざこの瞬間になると、足がすくんでしまう。
一ヶ月も間が空いてしまった今、いつも通りに接することができるだろうか。
それに、あのリンちゃんのことを、もし今度こそ聞かされてしまったら。
いや、逆に自分から聞くべきなのだろうか。
意を決して、私は廊下を歩き出す。



