保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


九月。長かった夏休みが終わり、二学期が始まった。

始業式の朝、まだ夏の名残を感じさせる強い日差しが、校庭に降り注いでいる。

窓の外からは、夏の終わりを告げるツクツクボウシの声が、途切れ途切れに聞こえてきた。

「咲奈、夏祭り以来だね! 日焼けした?」

教室に入るなり、梨沙子が駆け寄ってきた。

「うん、ちょっとだけ。梨沙子はその後、海行ったんだよね?」

「そうそう、家族旅行でめちゃくちゃ焼けたよ。見て、この腕」

梨沙子が得意げに二の腕を見せてくる。確かに、夏祭りのときよりも随分と小麦色になっていた。

「うわ、ホントだ! めっちゃ海満喫してきたんだね、羨ましいな」

「咲奈ー、久しぶり。夏休み、何してた?」

クラスの女子の一人も、輪に加わってくる。

「私は、温泉と夏祭りに行ったくらいかな」

「あ、わたしも行った! どこの夏祭り?」

「近くの神社の、大きいやつ」

「あ、それ多分同じところだ。すごい人だったよね」

そんなふうに、クラスメイトたちとの何気ないやり取りが続く。

一ヶ月ぶりの教室は、夏休み前と変わらない、賑やかな空気に包まれていた。

始業式の日は、全校集会と各クラスでのホームルームだけで、午前中のうちに終わってしまう。

「今日はもう帰れるんだね。楽でいいけど、なんか物足りない気もする」

下駄箱に向かいながら、梨沙子がそんなことを言う。