保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


──ドォン。

夜空に、大輪の花が咲くように、色とりどりの光が広がった。

「わぁ、綺麗……!」

歓声を上げる友人たちの隣で、私も夜空を見上げる。

赤、青、金色。

次々と打ち上がる花火が、夜空を鮮やかに染めていく。

こんなに綺麗な景色を見ているのに、なぜか胸の中は、ずっともやもやしたままだった。

離れた場所のどこかに、須藤先輩もいるのかな。

同じ花火を見ているのかな。

もし会えたら、何を話そう。

そんなことばかり考えてしまう自分に、嫌気が差した。

打ち上げ花火の音が、ドンドンと胸の奥まで響いてくる。

その振動に合わせるように、握りしめた手のひらに、じっとりと汗がにじんでいた。

◇

花火が終わると、大勢の人々が一斉に帰路へと動き出した。

「咲奈、はぐれないようにね」

「うん」

梨沙子たちと手を繋ぎながら、人混みの中を進んでいく。

ふと、少し離れた場所に、見覚えのある紺色の浴衣が見えた気がした。

帯にちらりと光る、小さな組紐のストラップ。あの人が持っていそうな、シンプルだけどどこか品のあるセンスだ。

須藤先輩……?