保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


「咲奈、今の見てた。優しいよね、ほんと」

梨沙子にそう言われて、少し照れくさくなる。

「別に、大したことじゃないよ」

「ねぇ。咲奈のその浴衣、本当に似合ってるよ。もっと自分に自信持ちなよ」

友人のひとりに、ふとそう言われて、私は目を見開く。

「……ありがとう」

素直にお礼を言えたことに、自分でも少し驚いていた。

前の私だったら、きっと「そんなことないよ」と、慌てて否定していたはずなのに。

昔から、褒め言葉を素直に受け取るのが苦手だった。

それでも、こうして少しずつ、受け取り方を変えていけている気がする。

浴衣姿の人たちが行き交う賑やかな空気に、私は自然と心が浮き立つのを感じた。

こうして友人たちと過ごす時間は、心から楽しかった。

須藤先輩のことも、リンちゃんのことも、しばらくは忘れられていたと思う。


やがて、花火が始まる時間になった。

「咲奈、こっちこっち! いい場所取れたよ」

土手の上、友人たちと並んで座り込む。