保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました


「咲奈、大丈夫? なんか黙り込んじゃって」

「う、ううん。なんでもない」

慌てて誤魔化しながらも、心のどこかで、リンちゃんの存在がちらついた。

田村先輩に言われたことも、リンちゃんのことも。

まだ何ひとつ、解決していないのに。

「まぁ、噂は噂だしね。気にしなくていいんじゃない?」

友人のひとりが、あっさりとそう言って話題を変える。

その気遣いに、内心ほっとしながらも、私はりんご飴の甘さが、なんだか少しだけ苦く感じられた。

夜店の並びを歩いていると、少し先で、小学生くらいの小さな女の子が地面にしゃがみ込んで泣いているのが目に入った。

「どうしたの?」

しゃがんで声をかけると、女の子は落としてしまった綿あめを指さして、しゃくり上げながら訴えてきた。

「あらら。じゃあ、お姉ちゃんと一緒に、新しいの買いに行こっか」

近くの屋台で綿あめを買い直してあげると、女の子はぱっと笑顔になって、駆けてきた母親のもとへと戻っていった。

こういうこと、放っておけない性分は、多分一生変わらないんだろうな。

そう思いながら、友人たちのところへと戻る。