そして、やって来た昼休み。
保健室のドアの前で、私はいつもより長く立ち止まっていた。
ノブに手をかけては、離す。
もう一度手をかけて、また離す。
深呼吸を三回ほど繰り返してから、ようやく意を決してドアを開けた。
──シャッ。
カーテンを開けると、須藤先輩はいつものように、ベッドの上で伸びをしていた。
「あ、咲奈ちゃん。おはよ」
「……おはようございます」
先輩の態度は、普段と何も変わっていない。
やっぱり、何も覚えていないみたいだ。
「今日も暑いね〜。この時期のエアコン、効き悪くない?」
「……そうですね」
他愛もない会話を交わしながら、私は心の中で、何度もタイミングを窺っていた。
聞くなら、今しかない。
「あの、先輩」
「ん?」
「昨日のことなんですけど……」



