「キミ、可愛いね。お近づきの印に、俺とキスする?」
耳元で囁かれた、低く甘い声。
ある日、保健室で出会ったのは、学校一危険で甘い先輩だった──。
◇
高校に入学して、一ヶ月が過ぎたある日の昼休み。
「あー、痛っ」
私、平沢咲奈は今、保健室へと向かって廊下を歩いていた。
ここ数日、夜更かしして睡眠時間が三時間っていう日が続いていたからかな?
身体がフラフラする。頭痛薬もさっき飲んだけど、痛みが和らぐ気配は一向にない。
お昼休みの残り三十分は、保健室で休ませてもらおうと思ったのだ。
──ガラガラ。
ドアを開けて保健室に入ると、ツンとした薬品の匂いが鼻を掠める。
あれ? 保健室の先生いない。
保健室には誰もいないのか、シーンと静まり返っている。
もし具合の悪い誰かが休んでいたら、静かにしないと。
勝手に、そこのベッドに寝させてもらっても良いかな?
そう思い、窓際のベッドのカーテンを、できるだけ音を立てないように開くと。
「……え」
そこには、二年生の男の先輩が眠っていた。
う、うそ!?
声も気配もしなかったから、油断していたけれど……人、いたんだ。
しかもこの人……。
学校一のイケメンで有名な、二年生の須藤海里先輩だ。



