氷の君に、恋の歌を。

教室に少しずつ人が増え始める。
ざわざわとした空気が戻ってきても、机の下のぬくもりだけは変わらなかった。

昨日は乃愛が守る側だった。
でも今日は、またいつものように蓮斗のやさしさに包まれている。

それなのに、確かに違うこともあった。
蓮斗はもう、乃愛の前で少しだけ弱い自分を見せてくれる。
頼ってくれる。
甘えてくれる。

それがたまらなくうれしくて、愛おしい。

「乃愛」

「なに?」

「今日の放課後」

その低い声に、乃愛の胸がどきっとする。

「昨日のお礼、ちゃんとしたい」

「え……」

意味深すぎる言い方に、乃愛の顔がまた熱くなった。

「な、なにする気……?」

そう聞くと、蓮斗は少しだけ意地悪そうに目を細めた。

「放課後まで秘密」

その表情を見た瞬間、乃愛は思う。
きっと今日も、放課後が待ち遠しくてたまらない一日になるのだと。