氷の君に、恋の歌を。

蓮斗は机に頬杖をついたまま、乃愛を見つめる。

「昨日、ちゃんと寝れた」

「ほんと?」

「乃愛がいたから」

またそんなことを言う。
朝から心臓に悪すぎる。

「もう……甘すぎるよ」

小さくつぶやくと、蓮斗は少しだけ首をかしげた。

「本音だけど」

「だから困るの」

乃愛がうつむくと、ふいに指先にぬくもりが触れた。
机の下で、蓮斗がそっと乃愛の手に触れていた。

「今日も少しだけだるい」

「え、大丈夫?」

慌てて顔を上げると、蓮斗はわずかに口元をゆるめる。

「だから、もう少しこうしてたい」

その言い方がずるすぎて、乃愛は何も言えなくなる。
心配させたかと思えば、すぐに甘い言葉で包んでくる。

でも、そんなふうに頼られるのはうれしかった。

乃愛はそっと指を絡めるように握り返す。

「今日だけ特別だからね」

「毎日でもいい」

「だめ」

「じゃあ、たまに頼る」

そう返されて、乃愛はくすっと笑った。