氷の君に、恋の歌を。

「それに」

蓮斗が少しだけ声を落とす。

「昨日の乃愛、かっこよかった」

「えっ」

予想外すぎる言葉に、乃愛は目を丸くした。

「か、かっこいい?」

「いつもは守りたくなるのに、昨日は逆だった」

そう言って蓮斗は、ほんの少しだけ笑う。

「俺のこと支えて、連れて帰って、寝るまで面倒見て」

淡々と言っているはずなのに、内容が恥ずかしすぎる。
乃愛は一気に顔が熱くなった。

「そ、それは蓮斗くんが弱ってたからで……」

「うん」

「普通だよ」

「普通じゃない」

きっぱり返される。

「乃愛じゃなかったら、あそこまで素直に頼ってない」

そのひと言が、胸にやさしく落ちた。

乃愛だから。
自分だけは特別なんだと思える言葉は、何度聞いても幸せになる。