氷の君に、恋の歌を。

朝の教室はまだ人が少ない。
静かな空気の中で、蓮斗がふいに乃愛のほうへ体を向けた。

「昨日」

「え?」

「送ってくれてありがと」

まっすぐ言われて、乃愛の胸がじんわり熱くなる。

「そんなの、当たり前だよ」

「当たり前でも、うれしかった」

蓮斗の声は低いままなのに、どこかいつもより甘い。
弱ったあとだからか、その一言一言が胸に深くしみる。

「乃愛がいてくれて、すごく安心した」

その言葉に、乃愛は思わず息をのんだ。

「ほんとに?」

「ああ」

迷いなくうなずかれて、胸の奥がきゅっとなる。
昨日、自分がそばにいてよかった。
そう思えるのがたまらなくうれしい。