氷の君に、恋の歌を。

翌朝。
乃愛はいつもより少し早く教室に入った。

昨日のことが気になって、落ち着かなかったからだ。
ちゃんと熱は下がったかな。
無理して来ていないかな。
そんなことばかり考えてしまう。

席に着いても、隣はまだ空いたまま。
その空間を見るたびに、胸がそわそわした。

すると少しして、教室のドアが開く。

「……おはよう」

聞き慣れた低い声に、乃愛はぱっと顔を上げた。

「蓮斗くん!」

そこにいたのは、いつもの制服姿の蓮斗だった。
昨日より顔色はずっといい。
少しだけ安心して、乃愛はほっと息をつく。

「大丈夫なの?」

「だいぶ楽」

席に座りながらそう答える声は、まだ少しだけやわらかい。
完全ではないけれど、昨日より元気そうだ。

「よかった……」

乃愛が本気で安心した顔をすると、蓮斗は一瞬だけ目を細めた。