あの夏祭りの夜から、いくつかの季節が過ぎた。
春が来て、夏が来て、また新しい毎日が積み重なっていく。
制服を着ていた時間は、いつのまにか思い出になった。
それでも、いちかの隣にはずっと莉久がいた。
泣きそうになった新学期の日も。
相合い傘で寄り添った梅雨の帰り道も。
花火の下で、これから先も隣にいてほしいと言われた夜も。
その全部を大事に抱えたまま、ふたりは少しずつ大人になった。
そして数年後。
夏の夕暮れ。
いちかは駅前で、懐かしい音を聞いていた。
遠くから響く祭りばやし。
今年も街では、あの日と同じ夏祭りが始まろうとしている。
「いちか」
名前を呼ばれて振り向く。
そこにいたのは、少しだけ大人びた莉久だった。
落ち着いた服も、やわらかく笑う目も、昔とは少し変わった。
でも、いちかを見るときのまっすぐさだけは、何ひとつ変わらない。
「待った?」
「ううん。今来たところ」
そう答えると、莉久は昔みたいに自然に手を差し出した。
「行こ」
いちかは笑って、その手を取る。
重なったぬくもりは、懐かしいのに、前よりずっとしっくりきた。
春が来て、夏が来て、また新しい毎日が積み重なっていく。
制服を着ていた時間は、いつのまにか思い出になった。
それでも、いちかの隣にはずっと莉久がいた。
泣きそうになった新学期の日も。
相合い傘で寄り添った梅雨の帰り道も。
花火の下で、これから先も隣にいてほしいと言われた夜も。
その全部を大事に抱えたまま、ふたりは少しずつ大人になった。
そして数年後。
夏の夕暮れ。
いちかは駅前で、懐かしい音を聞いていた。
遠くから響く祭りばやし。
今年も街では、あの日と同じ夏祭りが始まろうとしている。
「いちか」
名前を呼ばれて振り向く。
そこにいたのは、少しだけ大人びた莉久だった。
落ち着いた服も、やわらかく笑う目も、昔とは少し変わった。
でも、いちかを見るときのまっすぐさだけは、何ひとつ変わらない。
「待った?」
「ううん。今来たところ」
そう答えると、莉久は昔みたいに自然に手を差し出した。
「行こ」
いちかは笑って、その手を取る。
重なったぬくもりは、懐かしいのに、前よりずっとしっくりきた。



