別れ際。
屋根のある場所まで来ると、莉久が傘を閉じる前にそっといちかを見つめた。
「次も、傘忘れて」
「えっ」
「そしたらまた一緒に帰れる」
真顔でそんなことを言うから、いちかは思わず笑ってしまう。
「わざとはだめでしょ」
「じゃあ、忘れなくても迎えに行く」
その返しが莉久らしくて、胸がやわらかくなる。
梅雨の帰り道。
ひとつの傘に隠れた近さは、
ふだんよりずっと素直に、ふたりの好きが伝わる時間になった。
雨はまだやまない。
でも、いちかの心の中は、やさしくあたたかく晴れていた。
屋根のある場所まで来ると、莉久が傘を閉じる前にそっといちかを見つめた。
「次も、傘忘れて」
「えっ」
「そしたらまた一緒に帰れる」
真顔でそんなことを言うから、いちかは思わず笑ってしまう。
「わざとはだめでしょ」
「じゃあ、忘れなくても迎えに行く」
その返しが莉久らしくて、胸がやわらかくなる。
梅雨の帰り道。
ひとつの傘に隠れた近さは、
ふだんよりずっと素直に、ふたりの好きが伝わる時間になった。
雨はまだやまない。
でも、いちかの心の中は、やさしくあたたかく晴れていた。



