いちご色の恋予報♡

「もっとこっち」

「えっ」

「濡れる」

莉久が傘を少しいちか側へ寄せる。
そのせいで、莉久の肩に細かい雨が当たっているのが見えた。

「莉久のほうが濡れてるよ」

「いい」

「よくないよ」

いちかがそう言うと、莉久は少しだけ困ったみたいに笑った。

「白石が濡れるほうがいや」

そのひと言に、胸の奥がやさしく熱くなる。

歩き出す。
水たまりを避けながら進むたびに、ふたりの距離は自然と近くなる。
雨音が強いぶん、会話は小さな声になる。
それがまた、ふたりだけの秘密みたいでどきどきした。

「今日、寒くない?」

「少しだけ」

そう答えた瞬間、莉久の手がそっといちかの腕に触れた。
次の瞬間には、肩を抱くみたいに引き寄せられる。

「り、莉久……」

「寒いんでしょ」

「でも近い」

「近くするため」

小さく言ったその本音に、いちかの顔が一気に熱くなる。

雨のせいで、まわりを歩く人たちの気配はぼんやりしていた。
見えているのに、どこか世界が小さくなったみたいで、傘の下だけが特別に感じる。