「かわいすぎ」
そうつぶやいて、莉久はそっといちかの頬に触れる。
それから、確かめるみたいにやさしく唇を重ねた。
春の前の少し冷たい風。
夕焼けのあたたかな色。
その真ん中で交わすキスは、バレンタインの日のどきどきより、もっと深く胸に残る。
短く離れたあとも、莉久は近いままだった。
「これで終わりじゃないから」
「えっ」
「今日の何倍も返すって言ったし」
「もう十分だよ……」
真っ赤になって言うと、莉久は少し笑う。
「まだ足りない。白石が好きって気持ち、全然返しきれてない」
その言葉に、いちかの胸がきゅうっと締めつけられる。
幸せすぎて苦しいくらいだった。
「じゃあ、もっと受け取る」
勇気を出してそう言うと、莉久は一瞬目を見開いて、それからほんとうにうれしそうに笑った。
「それ、反則」
「莉久こそ」
ふたりで少し笑い合う。
その空気まで愛しくて、いちかはつないだ手にそっと力をこめた。
帰り道。
新しくもらったキーホルダーが、バッグにつける前から特別に思えた。
お菓子の甘さよりもずっと、莉久のまっすぐな想いのほうが胸に残る。
こうしてホワイトデーの放課後は、
やさしいサプライズと、甘すぎるお返しで、
またひとつ忘れられない恋の記念日になった。
そうつぶやいて、莉久はそっといちかの頬に触れる。
それから、確かめるみたいにやさしく唇を重ねた。
春の前の少し冷たい風。
夕焼けのあたたかな色。
その真ん中で交わすキスは、バレンタインの日のどきどきより、もっと深く胸に残る。
短く離れたあとも、莉久は近いままだった。
「これで終わりじゃないから」
「えっ」
「今日の何倍も返すって言ったし」
「もう十分だよ……」
真っ赤になって言うと、莉久は少し笑う。
「まだ足りない。白石が好きって気持ち、全然返しきれてない」
その言葉に、いちかの胸がきゅうっと締めつけられる。
幸せすぎて苦しいくらいだった。
「じゃあ、もっと受け取る」
勇気を出してそう言うと、莉久は一瞬目を見開いて、それからほんとうにうれしそうに笑った。
「それ、反則」
「莉久こそ」
ふたりで少し笑い合う。
その空気まで愛しくて、いちかはつないだ手にそっと力をこめた。
帰り道。
新しくもらったキーホルダーが、バッグにつける前から特別に思えた。
お菓子の甘さよりもずっと、莉久のまっすぐな想いのほうが胸に残る。
こうしてホワイトデーの放課後は、
やさしいサプライズと、甘すぎるお返しで、
またひとつ忘れられない恋の記念日になった。



