いちご色の恋予報♡

ソファに並んで座る。
最初は少しだけ間があったのに、気づけばその隙間はほとんどなくなっていた。

「白石」

「ん?」

「こっち」

莉久に腕を引かれて、いちかはそっと肩にもたれる。
大きな手が背中に回って、やさしく引き寄せられる。

「……近い」

「クリスマスだから」

「それ理由になるの?」

「なる。俺の中では」

そう言って、莉久は当然みたいにいちかを腕の中に収めた。
前よりもずっと自然で、でも前よりもずっとどきどきする。

「今日、最初からずっと思ってた」

低い声が耳元に落ちる。

「かわいすぎて危ない」

「またそれ……」

「ほんとだから困ってる」

莉久の胸に寄りかかったまま、いちかは小さく笑う。
するとその振動まで愛しいみたいに、莉久の腕に少し力がこもった。

「笑った」

「え?」

「その顔、好き」

ひとつひとつ言葉にされるたび、いちかの心は甘くほどけていく。

部屋の中は静かだった。
聞こえるのは時計の音と、たまに混じるふたりの息づかいだけ。
そんな静けさの中で、莉久はそっといちかの髪をなでた。

「眠くなってもいいよ」

「え?」

「このまま預かる」

その言い方があまりにも甘くて、いちかは莉久の服をきゅっとつかむ。

「……ほんとに甘やかす気なんだ」

「言ったでしょ。覚悟してって」

少し顔を上げると、すぐ近くに莉久がいる。
目が合った瞬間、空気が変わるのが分かった。

「いちか」

名前で呼ばれる。
それだけで、胸がとくんと鳴る。

「今日、ずっといい子だったから」

「なにそれ……」

「ごほうび」

そうささやいて、莉久はまず額にキスを落とした。
次に、頬に。
それから、あまりにも大切そうに、唇にもやさしく触れる。

短いキスなのに、心の奥まで熱くなる。
離れたあとも、莉久は近いままだった。

「……足りない」

ぽつりとこぼされた声に、いちかは息をのむ。

「でも、今日は白石が恥ずかしくなりすぎる前にやめる」

「り、莉久……」

「ほんとはもっとくっつきたい」

正直すぎる言葉に、いちかは真っ赤になりながらも、小さく笑った。

「じゃあ……もう少しだけ」

そう言うと、莉久は一瞬だけ目を見開いたあと、どうしようもなく甘い顔になる。

「それ、反則」

「莉久に言われたくない」

珍しく言い返すと、莉久はふっと笑って、もう一度いちかを抱きしめた。
今度はさっきよりも深く、逃がさないみたいに、でもやさしく。

窓の外は冬の夜。
でも、部屋の中はあたたかくて、胸の中まで満たされていく。

初めてのクリスマスは、
きらびやかな街よりも、にぎやかなイルミネーションよりも、
好きな人の腕の中がいちばん幸せだと知る夜になった。

そしていちかは、これから先の冬も、その先の季節も、
ずっと莉久のぬくもりを覚えていたいと思った。