もう戻れない




背中から腰の鈍い痛みで目が覚めて、いつもの寝起きと違う天井を見て、家に帰ってからすぐに眠ってしまったことに気づき、顔を両手で覆った。


ポケットに入れておいたスマホを見ると、法戸くんと晃輝からメッセージが来ていた。家だからと気を抜かずに戸締りをすること、何かあったらすぐに連絡をすること、返事はすぐにすること。




「親よりうるさいんだけど」




貴裕はここまでうるさくない。実際、貴裕からの連絡は一切ない。



〝了解〟

二人にこれだけを返し、お風呂を沸かすボタンを押した。今日は平日だから、私も晃輝も仕事。でも秀くんが亡くなって、私はショックから溜まっていた有給を使って、数週間の休みをもらっている。


晃輝は今日から仕事に行くと言っていたし、私一人で色々調べよう。




法「はい、法戸です」


「もしもし。今日、暇かな?」


法「…僕はいつも忙しいですよ」


「ごめんごめん(笑)変な聞き方したね。行きたいところがあるから、連れて行ってほしいの」


法「良いですよ。じゃあ、十時に迎えに行きます」


「ありがとう。お願いします」




約束はちゃんと守る。姫という自覚は持ちたくないけど、自分が危ない立場にあることくらいは理解できる。いつ襲われても、おかしくない。それでも、秀くんのために動きたいから。