青く、淡い、フィルターの向こう側  -あの頃、好きと言えなかった君と大学で再会した-

しんと静けさ漂う公園が、ついに完全無音の世界に変わったのかと錯覚すらしたほどだ。

そんな長い沈黙だった。

「するか……」
「しよか……」

どちらともなく無音を割いて、撮影を始めようと互いを促し小さく頷く。
そうしてやっと撮影が始まった。

しかし結論を言うと、撮影はぐだぐだだった。

「ねぇちょっと、これ寄りすぎやない……?」

夏希の方は完全に切り替えたらしくテキパキと指示を出し要望を伝えてくるが、肝心の由紀が駄目だったのだ。

戸惑いと羞恥と、スマホのレンズ越しに覗いてくる夏希の視線に終始身体が熱くなる。

「これぐらいやないと意味ないやん」
「思ったより距離近いっていうか」

由紀だけが明らかに没頭出来ていなかった。

「あ゛〜〜〜っ!!なんか固いわ」

「やって恥ずかしいし」
「なんで?顔撮った時は普通やったやんか」

普通逆やろ、と夏希は溢す。

そんなこと言ったって……むしろ夏希は何故平気なのだろう。
まるで自分だけが置いてけぼりだ。

さっきのことだって由紀だけが気にしているみたいで、固いと指摘されれば寂しい気持ちになるわけで。

「そんなん夏希のせいやん……」

気づけばポツリと言い訳がましく零していた。

「なに?」
「海で夏希があんなこと言ったから……」

告白まがいの台詞を海で浴びせてきた時のことは、いつだって鮮明に浮かび上がってくる。
それほどに衝撃で、後悔していて、いつも通りでいられないのに。

夏希は違うの?と瞳が揺れる。

それともアレか。二人の間に生まれる温度差の原因は……ーーー

「やっぱ夏希は忘れとるんかもやけど」

由紀らしくない。そう言われそうな拗ねくった考察が気づけば口に出ていた。