青く、淡い、フィルターの向こう側  -あの頃、好きと言えなかった君と大学で再会した-

ーーーーあれから数日後。

夏希が送ってくれたデータを観た由紀はその時の勢いで『明日でも明後日でも!いつでもいいよ』とメッセージを送り、久しぶりに二人で会う日が決まった。

落ち合う場所は大学のテラス。
人目がある場所を選ばれていたので、もしかすると夏希はもうあの時のことを話す気がないのかもしれない。

少し落ち込んだが、しかし作品が完成に近付いている事は嬉しくて、話を始めると待ち合わせた後の二人の間に以前のようなギクシャク感はすぐに消えた。

やっぱり楽しい。

「ーーやろ?やっぱそう思うよな。一分もない程度やけど追加で撮るか……」

ひと通り意見を交わした結果、浮上したのはシーンの追加の案だった。

「入れた方が絶対いいよ。指先は大事やと思う」
「んじゃ日取り決めてやろや」

手を中心とした”映像の余白“を差し込みたいという話で、しかし由紀は自分の指先をちらりと見たあと息を飲み考える。

自分の指は付け根から第一関節までが短い。
実は密かなコンプレックスだった。

だからまた余計なことを……いや、正しくは言葉が足りなかったのだ。

「じゃあ手タレ選ぼっか。奈那とかめっちゃ指きれーなんよ。華奢やし」

「……なぁ」
「ん?」

「それ素で言っとるとこ酷いわ」

夏希は端正な顔を歪めてため息を溢す。
またやらかしてしまった。

「あ……えーと、クオリティのために……」

しかし今回の夏希は前回と違った。

「クオリティのためやったら尚更やろ。由紀がいいし、悪いけどまた付き合ってや」

「うん……」

そして再び、二人で撮影する事が決まった。
呆れられて解散になるかと思いきや、すんでのところで首が繋がった気分だ。

確かに夏希の言うとおり、言葉足らずは自分の方だったのかもしれれないと自覚した日だった。