◇
カチャリ。
鍵が施錠される音が響く。
静まり返った広大な生徒会長室で、私はヴァル先輩と二人きりになった。
「ヴァル先輩……? どうしたんですか、急に……」
手首を開放され、そのまま後ずさりした私の背中が、冷たい壁に当たる。
壁際に完全に追い詰められてしまった。
見上げると、神城先輩は悔しそうに薄い唇を強く噛み締めていた。
その綺麗な顔は真っ赤に怒りで染まっていて、不機嫌そのもの。
……だけど、その赤い瞳には怒りだけじゃなくて、どこか揺れるような焦燥感が浮かんでいた。
「……あいつに」
「え……?」
「あいつに頭を撫でられて……嬉しそうにするな」
「……っ!」
掠れた、絞り出すような低い声。
「お前に触れていいのも……嬉しそうな顔を向けられていいのも……俺だけだ」

